1.日本のブルーベリー苗木マーケット

 私がブルーベリーに興味を持ち始めた理由は、その摘み立ての果実の美味しさにあったわけですが、さらに美味しいと感じる品種が必ずあるはずだ、あるいは、品種による味の違いはどうなのかということに興味を掻き立てられたのだと思っています。その結果、日本で入手可能な品種を極力集めてみて、それらをすべて確認してみたかったのでした。

 しかし、いくつかの品種を揃えてみると、その信憑性に疑問があるものばかりだったのです。同じ品種名であるにもかかわらず、果実や葉の形状が全く違うものがあったのでした。あるいは、別の品種であるはずのものが、形質が全く同じに見えたりするものが存在するなど多くの問題が明らかになってきました。そればかりか、思わず失笑してしまうような実際には存在しない品種名や、品種の存在自体をないがしろにしたような販売の現場を目撃することもしばしばで、当時の日本のブルーベリー苗木マーケットは、まさに品種混乱の極みだったともいえるでしょう。以下の写真は、ラビットアイ系品種のウッダードが、北部ハイブッシュ系品種のダロウとして販売されている様子を撮影したものです。

 それを確かめるために、都会の狭い屋上は、ほんの短期間のうちにブルーベリー苗で埋め尽くされることになったのでした。また、種苗会社の多くは、注目の新品種の販売に注力していたため、ビッグセブン以前の古い品種に関しては、プレイスされる方向に向かっていました。したがって、ブルーベリーの来歴も含めて過去の古い品種までも特定したいと思っていた私の試みは、困難を極めていました。特に私が興味を抱いていたのは、既存の優良品種とはどんな品種の交配によって生まれてきたのかということでした。さらには、優良品種を生み出した親品種自体の形質や果実品質にも大変興味があったのでした。

 同時に、図式化されたブルーベリー品種改良の歴史(品種改良統図)は、1960年にアメリカ農務省のダロウ博士が示した極めて簡素なものしか存在していませんでした。これらをより詳細に、そして現在の品種に至るまで独自に検証し構築してみようと思ったのが、当時ブルーベリーに興味を抱いていた私の試みだったのです。