2.品種混乱に対するアメリカの対応

 ブルーベリーの来歴に関しては、日本では限定された情報しか存在しなかったため、必然的に海外の情報も調べていくことになりました。そこで私が感じたことは、このブルーベリーの品種混乱とは、日本だけの問題ではなく、ブルーベリーの母国アメリカにおいても、かなり初期の段階から同様であったのではないかと推測するに至りました。

 確かに、ブルーベリーという果樹の品種間異差は極めて微妙で、品種の正確な同定は消費者のみならず、プロの生産者や研究者においても非常に難しいといえるでしょう。したがって、この時点では、海外情報にもブルーベリーの各品種を明確に特定できるような詳細な情報はどこにもありませんでした。しかし、ブルーベリーの母国であるアメリカ農務省は、早くからこの品種混乱の問題に対しては積極的な姿勢を見せていたと想定できます。

 その1つが、1960年7月のいわゆる「ビッグセブン」の制定なのです。アメリカにおいて、当時発表されていた北部ハイブッシュ系品種の数は、50種程度であるが、この時点でも、すでに多くの品種混乱があったと考えられます。これを少しでも是正するために、アメリカ農務省のダロウ博士他6名のブルーベリー研究者が協議して、アメリカ東部からミシガン州における「7つの推奨品種」を定めたとされています。これが、現在でも通用する優良品種群である「ビッグセブン(七大品種)」で、1949年から1959年に発表された「コビル (1949年)」、「バークレイ(1949年)」、「ブルークロップ(1952年)」、「ハーバート(1952年)」、「アーリーブルー(1952 年)」、「ブルーレイ(1955年)」、「コリンズ(1959年)」の7品種なのです。

 一般に、この「ビッグセブン」制定の目的とは、その名称どおり、優秀な7種類の大粒品種を選定して、その栽培を推奨したものとされていますが、本当のところは、すでに混乱して分からなくなってしまった小粒品種等の排除を狙ったものだと、私は推測しています。

 つまり、アメリカでもこの時点において、古い小〜中粒品種に対する関心は薄れていたと考えると非常に分かり易いのです。もはや、すでに混乱してしまったこれらの小〜中粒品種までも正確に同定しなおすなどということよりも、せめて大粒の7品種だけは、ある程度は確実にしておこうという意志が働いたのであろうと思われます。なぜなら、それ以外の品種を正確に同定し、一般に浸透させるのは、あまりにも面倒な作業だといえるからです。それほど、ブルーベリー品種の同定は、一般には難しく厄介だということもできるでしょう。

 このビッグセブンの制定と同時に、その7品種の同定基準などが公表されたかどうか定かではありませんが、小〜中粒種の排除という別な意味での成果は確実にあったといえるでしょう。

 しかし、ブルーベリーの母国アメリカでは、このビッグセブンの制定時点で、すでに多くの品種混乱があったはずなのですから、その後ブルーベリーが導入された日本でも当然その影響を受けていたはずで、ビッグセブン制定の成果や基準が日本にまで波及したとは当然思えないわけなのです。