4.品種同定

 このような状況下で、私は、自らが購入したブルーベリー苗木の品種が、ほとんど当てにならない現実に直面し、それを特定する情報がどこにもないわけなので、自ら見極めてしっかりと品種を同定をしてみたいと考えるようになったのでした。

 しかし、既存のブルーベリー関連書籍や趣味のブルーベリーサイトにおいても、栽培方法はある程度確立されたように見えるものの、品種の識別、同定に関しての記述は皆無に等しかったのでした。むしろ、多くの書籍は、品種を同定するような内容に触れることを避けているようにすら私には感じられたのでした。

 熱心な趣味のWebサイトでも、多くの写真や品種の特徴が列挙してはあるものの、品種を正確に識別したり、それに辿り着けるような情報はどこにもありませんでした。つまり、多くのWebサイトは、無責任な単なるブルーベリーオタクの世界であるわけですが、本来責任など持つ必要のない趣味のサイトとは、本来それでいいのかもしれません。BBSでの品種についても話題も、結局は解決になど至らないオタク同士の井戸端会議状態に過ぎませんでした。さらに、こと品種に関しては、研究機関でさえも全くの及び腰で、信頼すべき情報は、どこにもなかったのでした。

 従来のブルーベリー書籍で語られる果実のサイズや色、樹勢の強弱、開帳性の有無、収穫時期などの極めて相対的な情報は、品種を同定するには、ほとんど役にも立たないものでした。それが、ブルーベリーの特性といってしまえばそれまでなのですが、だとするならは、付与されている品種名とは、どういう根拠で付与されたのかが、私としては大きな疑問となってしまうのでした。「最初からこの株は○○という品種だといわれていた」ということであれば、全く持って信頼性に欠けるものといわざるを得ないのです。つまり、現在付与されている品種名自体になんの根拠もないことになってしまうのです。それを疑うことから、すべてが始まるといっていい状況だったのです。

 少なくとも、自分が栽培しているブルーベリーだけでも、正確な品種名であるものを育てたいという、誰もが考える単純で素朴な欲求がその発端だったのです。しかし、それは、実際のブルーベリーの品種数の膨大さ、品種混乱の酷さ、そして、その識別・同定の難しさと相まって、とてつもなく壮大な作業だと思われました。

 当時でも、世界には200品種を超えるブルーベリーが存在すると想定されました。しかし、そのうち日本に存在する100品種くらいは、自分自身で確実に捉えたいと考えたのでした。

 そして、実際に多くのブルーベリー品種を観察し、その特性を把握していく中で、私はスタンレイという品種に、強い興味と関心を持つことになったのでした。