7.見つからないスタンレイ

 このような状況下では、当然のごとく品種として信頼性のあるスタンレイの株を探すのには非常な困難を極めました。しかし、栽培品種としての優位性が欠如していたがために、営利栽培から姿を消してしまったにしても、ブルーベリーの品種改良の歴史において、極めて重要な存在であったといえるスタンレイとは、一体どんな品種なのかということには、さらなる興味が湧いてくるのでした。私は、どうしても、本物のスタンレイを見つけたかったのです。

 一般の苗木マーケットに流通しているスタンレイの多くは、農家あるいは植木屋から出荷されたものが多く、ほとんどの場合、仕入れ先は不明でした。また、一般の園芸店やホームセンターでは、苗木市場での競りなどによって入手するため、仕入先も固定したものではありませんでした。したがって、どちらにしても品種としての信頼性に欠けるものばかりだったのです。仮に、生産者(増殖者)がわかったとしても、何を根拠にその親株がスタンレイだといえるのかということにも疑問が残ります。Web検索によって、スタンレイの扱いがある生産者を数件訪ね入手してみるたところで、結局は、その入手経路については、ほとんどが不明で、すべてに共通することは、「この親株が、昔から、あるいは最初からスタンレイといわれていたものである。」という答えしか残らないのでした。

 ここにも、その品種名の確実性に、全くの論拠がないという極めてベーシックなブルーベリー品種問題の根源が存在するのでした。いくつもの生産者から入手したスタンレイの中でも、形質が同じものとして幾つか同定できる株があったものの、だからといって「多数決」によって本物のスタンレイがどれであるかを決めたところで、それは全く無意味なことにしかならないのでした。