9.スタンレイは、群馬県に!

 そんな困難な状況下で、知人および関係者など四方八方手を尽くした結果、関東近県では、唯一信頼すべき情報として群馬県にスタンレイが存在していることがわかったのでした。

 群馬県農業技術センター中山間地園芸研究センターにスタンレイが存在するというのです。季節はずれの3月ではあったものの、その真偽を確かめるべく、私は若干の粉雪が舞う中、休日を利用して群馬に存在するというスタンレイを訪ねることとなったのでした。

 群馬も果樹栽培といえば、やはりリンゴが中心となるらしく、寒さの中辿り着いた群馬県農業技術センター中山間地園芸研究センターの圃場の多くの敷地は、リンゴ栽培に注力しているようでした。そのリンゴ圃場を通り、私はブルーベリー圃場に案内されたのでした。

 そして、そこに定植してあったスタンレイの親木には、確かに「スタンレイ」と書かれた布切れがしっかりと縛りつけてありました。

 いまだブルーベリーの休眠期であったため、落葉していた圃場のスタンレイは、むしろ、その目印の確認が容易であったといえるでしょう。しかし、逆に、枝だけの株では、さすがに品種同定は不可能であるため、春以降、その作業にはいることとなったのでした。

 さらに、研究員の方によって調べて頂いた記録(群馬県園芸試験場報告第11号:1983年)によると、そのスタンレイは、1975年6月に長野県の米沢苗圃より、1年生苗として群馬県に導入されたもという詳細な導入経路がわかりました。そして、その親木そのものではないものの、圃場に存在した株はその親木から挿し木によって増殖されたスタンレイであることが記録により確認されたのでした。このあたりは、さすが研究機関といったろころで、民間よりも記録が確実で、その信頼性に長けるといえるでしょう

 幸いにも、県の試験場報告に、その記録が掲載されていたことで、調べればその導入経路までもが解明できたのであって、これが個人ベースの記憶に頼ることが多い民間では、たぶん無理だったのではないでしょうか。さらに、センターのご厚意によって、私はこの親木から確実に挿し木増殖されたという苗を分けて頂いたのでした。これによって、春以降、私はとうとう念願のスタンレイの特性把握をすることが可能となったのでした。