10.スタンレイのさらなるチェック

 スタンレイの日本への初期導入は、1952年にニューヨーク州とニュージャージー州から2回にわたり行われ、その2回とも試作地には米沢苗圃のある長野が指定されていました。したがって、群馬県農業技術センター中山間地園芸研究センターから分けてもらった苗木がスタンレイであるという信憑性はかなり高まったといえるでしょう。

 しかし、さらに、それを確実とするためには、1952年の長野への導入とは全く別のルートによって、1956年に導入されたスタンレイともマッチングさせるべきだと私は考えました。そうすれば、すでに品種の混乱があった母国アメリカであったとしても、異なる別ルートのものが一致するならば、この品種同定の確実性はかなり高まるといえるでしょう。複数の事実で確認することは、これほどまでに混乱を来し、品種というものが当てにならないブルーベリーにおいて正確を期すための常套手段だといえるでしょう。

 そこで、この第2回目の導入先である京都府立大学に問い合わせを行いました。しかし、ここでは、ほぼ半世紀も前に導入されたスタンレイは、すでに現存しておらず増殖によっても継承されてはいないという回答を得たのでした。現在、京都府立大学には、スタンレイとされる品種は1株のみ存在するものの、それはかなり後になって一般の苗木生産者より購入したものであり、その品種の正確性においては保証できかねるということでした。これで、過去のスタンレイ導入履歴における品種の確実性をさらにアップさせるためのダブルチェックの可能性は絶たれたのでした。

 しかし、その後、春になってから品種の同定作業に入ったところ、この群馬県で入手したスタンレイは、一般マーケットに何種類も存在するスタンレイのうちの1つと完全に一致したのでした。さらに、その一致した一般マーケットのスタンレイとは、流通経路が異なり、その関連がないと思われる関東の老舗農園所有のスタンレイとも完全に一致したのでした。

 この農園のスタンレイも、やはりかなり古い時期の導入であったため、その導入経緯は実際には不明でした。しかし、その挿し木増殖の正確性においては、園主の話と整然とした圃場を見れば、ある程度の信頼感は伝わってくるのでした。公の機関ではないのだから、むしろ、昔の記録などが存在していないのは仕方がないのかもしれません。しかし、単なる一般市場に流通する苗木の多数決だけではなく、このような事実の一致を持って考えるならば、この品種が、日本に導入されたスタンレイであり、その後も継承されてきた品種であることには、ほぼ間違いないのではないかと当時の私は結論づけたのでした。