品種の混乱

 私がブルーベリーに興味を持ち始めた2000年代初頭における日本のブルーベリー苗木マーケットは、品種混乱の極みだったのです。しかし、それに対して何らかの手立てが打たれる気配を私は感じませんでした。

 写真は、私がブルーベリーを始めた頃に園芸店で売られていた苗ですが、故意か過失かは別として、暖地での栽培に適するラビットアイ系のウッダードという品種が、寒冷地での栽培に適する北部ハイブッシュ系のダロウとして販売されている様子を捉えたものなのです。品種のみならず、それより上位の概念である系統分類すらも誤っているという惨憺たる状況だったのです。むしろ、品種名のラベルなどなしに、ただ単に「ブルーベリー」として販売されている方が、消費者にその判断を委ねるだけにまだ許容の範囲である気がしました。

ブルーベリー品種

 しかし、このような説明をしても、当時としては観察眼に優れ、かつ鋭敏な感性を持ったブルーベリー関係者を除いて、つまり一般の方にはその意味がほとんど理解不能だったことでしょう。大多数の栽培者や消費者にとっては、ブルーベリーの品種を正確に識別し同定するなどということ自体が、事実上あまり意味を持っていなかったのです。

 一般的には「ブルーベリーはブルーベリー」でしかなく、品種の違いなどはさほど気にするべきものではなかったのだといえるのでしょう。実際、果実の色が異なり一目でその違いがわかるリンゴやブドウのような明確な識別ができないブルーベリーにおいては、その品種間異差というものが微妙であることは確かです。

 しかし、このような状況を米にたとえるならば、コシヒカリと表示されている米が実際にはコシヒカリではなかったことを意味します。また、関東以南の暖地でしか育たない品種を、北海道や東北で平気で販売しているようなものでもあるのです。

 意識の低さと品種同定の難しさゆえ、このような状況が、まかり通っているのがブルーベリー苗木マーケットの現実だったのです。このことは、後に次に述べる「本当に美味しいブルーベリー」が流通しないことにも大きく関わってくる由々しき問題だと私は考えていました。