民間初のブルーベリー栽培解説書

 長野県上伊那郡中川村にある種苗会社小町園は、ブルーベリーのみならず扱うすべての果樹において品種の純正度を高める努力を他に先駆けて実行してきた数少ない老舗の種苗会社です。

 小町園では、長野県でのブルーベリー栽培のノウハウを広く伝えるために、すでに1977年の時点で、「ブルーベリー栽培の手引」という生産者向けの小冊子を制作していたのです。本文わずか13ページの小冊子には、「土地の準備」から「栽植」、「灌水」、「剪定」、「繁殖」、「収穫」、「鳥害」、「害虫」、「病害」、さらに栽培に携わった13品種が解説されています。各品種の記述は、わずか4〜5行程度のものなのですが、その特徴を的確に捉えた内容となっています。

 この小冊子の制作時期を考えると、ブルーベリーを解説した民間初の出版物として画期的な意義を持つものだといえるでしょう。そして、一般には販売もされず、配布もされないこの冊子は、まさに「幻の民間初のブルーベリー栽培解説書」という位置づけになることでしょう。私は、この小冊子からブルーベリーを超えて様々なことを考えさせられた気がしています。

 長野県にブルーベリーがはじめて導入されたのは1971年のことです。そこにある小さな種苗会社が、全くといっていいほどの「無」の状態から、たった6年で無償の小冊子を制作していることに、私は驚きを禁じ得ません。

 そして、この小冊子の存在意義を考えると、ブルーベリー栽培を超えて、種苗会社というビジネスの枠を超えて、まさに敬服するに値する「使命感」というものを、私は学んだ気がしています。

ブルーベリー栽培の手引(小町園)