ブルーベリージャムについての考察(1)

 「本当に美味しいブルーベリージャム」、「究極のブルーベリージャム」とは?。

 私は、幾多の産地を巡っては、その地で販売されているブルーベリージャムを試しに購入していました。しかし、その多くは生食用で残った果実や未熟果を単なる保存食にしたジャムとしか思えず、私が求める「美味しさ」を実感できるものではありませんでした。つまり、ブルーベリージャムを二次的なものと位置づけている以上、私の考える「本当に美味しいブルーベリージャム」とは程遠い存在にならざるを得ないことを常に実感していたのです。

 しかし、一部では、それを目指して「本当に美味しいブルーベリージャム」、「究極のブルーベリージャム」に近づきつつあるものもあります。これには、二方向のアプローチがあって、一つは品種選択、そしてもう一つは製法によるものです。品種選択によるアプローチは、どの品種がジャムに向くのか、あるいはどの品種とどの品種との組み合わせがジャムに向くのかという考え方です。一方、製法によるアプローチは、品種は問わずというよりも複数の品種のミックスを前提として、製法自体を極めようというものです。

ブルーベリージャム

 前者の品種選択によるアプローチは、ブルーベリー大図鑑の中でも若干触れたように(P.112~)、生産農家の長年の経験によってジャムに向くとされた品種が幾つか存在します。しかし、狭い世界であるブルーベリーゆえに、これが意外にも客観的な評価に基づいておらず、かつ多くの品種で試行されたわけではないのです。確かに、ランコーカスやジャージーは、ジャムに向く品種の一つであることは確かですが、ベストであるとは言い切れないでしょう。

 後者の製法自体を極めるアプローチは、ブルーベリーという素材に限らずジャム作り、ジャム職人としての考え方で、既存の素材や状態を前提として、その時々のベストなものに仕立てるという発想です。したがって、それは状態を見つつ常に臨機応変に対応することとなり、大量生産による一定のクオリティを維持するという生産管理にはあまり向いていません。

 どちらにせよ、ジャム作りに熱心な一部の生産農家では、お世辞にも美味しいとは思えない市販のブルーベリージャムを遥かに凌駕したレベルの高い「本当に美味しいブルーベリージャム」に近づきつつあるものが生産されています。しかし、いまだ「本当に美味しいブルーベリージャム」の安定供給にまでは至っていないというのが私の評価になります。

ブルーベリージャム

 実際のところ、現在のブルーベリーマーケットでは、品種別ジャムはほんの一部での試み程度でしか生産されていません。また、ジャムとソースという区分がありますが、これは凝固の程度によって、パンに塗るかヨーグルトに混ぜるか等の使用方法を分けているだけであって、美味しさを追求した結果の産物とは別のものなのです。