ブルーベリージャムについての考察(3)

 私自身が考える「本当に美味しいブルーベリージャム」、「究極のブルーベリージャム」に絶対不可欠な要素とは「鮮度」です。「保存」を前提としたジャム作りという発想では、このキーワードには絶対に辿り着かないことでしょう。私自身はブルーベリーに関連したビジネスの当事者ではないということから、このような評論家的なことがいえるのでしょうが、これに関しては事実であり真実であると確信しています。

 私が不思議でならないのは、ブルーベリーに限らず市販されているほとんどのジャムの賞味期限が、加工時点から1年間とまるで約束事であるかのように決まっていることです。私の知る限り、これを善しとせず6ヶ月としている心ある生産農家があります。これでさえ相当思い切った決断なのでしょうが、私の限度は1~2ヶ月、状態がよくて3ヶ月程度です。というよりも本来最も重要なのが「鮮度」なので、早ければ早いほうがいいのです。それを過ぎるとブルーベリージャムは急激に劣化します。ブルーベリージャムは色が濃いため、イチゴのジャムのような変色がわかりにくいだけなのです。

 また、どうして「常温」保存でいいのかというのも大きな疑問です。高級なワインやシャンパンですら、夏場に常温で保存してしまう非常識がかなりの割合を占めているのが現状なのでしょうが、ブルーベリージャムも明らかに熱劣化するのです。私には、「健全な状態で保存する」ことと「腐らせずに保存する」こととを、誰もが同義と捉えているとしか思えないのです。

 したがって、常温で1年なんていう賞味期限がどこから生まれて来たのか、私にすれば全くもって信じがたいレベルなのです。しかし、数ヶ月で劣化したレベルは、おそらくそのままで1年以上持つことは持つのでしょうから、「保存」を前提とした発想からは正しいのかもしれません。結局のところ、「保存をする」という発想と「美味いものを求める」という発想では、到達点が異なるのは仕方がないことなのでしょう。

 私は、自らが「美味いものを求める」という発想からここに辿り着いているわけですが、生産者サイドにもこの発想(消費者に美味しいものを届けたい)がありさえすれば、「本当に美味しいブルーベリージャム」は実現するはずだと思うのです。というよりも、多くの生産者が、既存の概念に縛られていて気づいてはいないといった方が正しいのかもしれません。

ブルーベリーを煮詰める

 総括すると、おそらくブルーベリージャムに限らず、多くの加工品は味覚が落ちても「保存食」としては、当然長持ちするのですが、「本当に美味しい」期間は極めて短いものなのです。私は、フレッシュブルーベリーを保存するには、「ジャムにする(加工する)」のではなく、冷凍で保存し「ジャムを食べたい時に作る」のが最も賢いテクニックだと確信しています。つまり、「鮮度」の維持と「加工」をどこに置くかという発想です。

 ジャムにする(加工する)にも、それなりのノウハウは必要なのでしょうが、冷凍で保管し数ヶ月後に砂糖をかけレンジで熱したブルーベリーの方が、有能な職人が作った数ヶ月前のブルーベリージャムよりも遥かに美味しいのです。つまり、「加工順序のテクニック」の方が「ジャム作りのノウハウ」を完全に凌駕してしまうのです。それゆえ、「鮮度」は「本当に美味しいブルーベリージャム」には、絶対不可欠な要素なのです。

 ただし、こう考えると、もはやジャムとして最も優れた品種やその組み合わせを探求することは、さらに意味のないことのようにも映ります。しかし、だからこそ、それを生業とする生産農家あるいはジャム職人の方々が、もしも唯一無二の付加価値の高い究極のブルーベリージャム作りを目指すならば、この「鮮度」と「品種」の重要性をさらに念頭に置くべきだと私は考えるのです。にもかかわらず、この極めて重要な二つの視点が、今のところは重要視されてる様子を私は感じてはいないのです。