単一品種ブルーベリージャム(10品種)の試食会

 この単一品種によるブルーベリージャム試作の目的は、異なる素材を均一化し品質が安定した美味しいジャムを作ることではありませんでした。香り、色、酸味、甘み、濃度、ペクチン量(凝固度合い)など各品種の特性を把握するための基礎情報の把握にありました。試食会は、弊社のスタッフに対し事前スクリーニングを行い、味覚に優れた計7人を選び出し2回にわたり実施しました。これは、非ブルーベリー関係者であったため、客観性のある結果が導き出せ、品種としては、ランコーカス、コリンズ、ジャージー等が高い評価を得る結果となりました。しかし、問題は、ジャムという加工品にする際の特性把握であり、ミックスする場合にはその組み合わせ方や相性も重要になってきます。これは、単に数字からはなかなか見えてこない情報になります。

 さらに、福島県のブルーベリー生産組合にも協力を頂き、会津、小野町、三春町&二本松市、いわき市、福島市の5つの地区ごとで個別に評価をしてもらい集計しました。なお、両試食会とも品種名はすべてブラインドとし、品種名から連想されるバイアスを極力排除しました。

 調査結果の概要としては、特に評価が高かった品種は存在したもの、全体的にマイナス評価が少なかったことでした。特に、福島ブルーベリー生産組合は、5地区計63名におよぶサンプル数を有するものだったのですが、下位2品種を除く2位以下7品種については評価のばらつきが多く、あえて順位付けをしない方がいいという判断を下しました。

ブルーベリージャム試食会

 しかし、私の評価としては、ブルーベリー関係者といえどもサンプル数が増えると、その評価は一般消費者目線に近くなるという仮説を持ちました。その一つの理由は、凝固したものを好むという指摘がそれなりにあったことです。つまり、本来ジャムとは凝固したものという先入観によるバイアスがあると想定されるのです。また、酸味が好まれるのはまだしも、同様に甘みを求める傾向が強かったことです。私の知る限り、ブルーベリー本来の味と風味を損なわないため、あえて加糖を30%以下にしている生産農家の製品が「本当に美味しいブルーベリージャム」に近く、かつこれは凝固が比較的少ないのです。

 したがって、福島ブルーベリー生産組合5地区計63名の評価からは「本当に美味しいブルーベリージャム」に向く品種が明確な順位としては確定しませんでした。また、各品種の個性の評価も個人の嗜好に左右されている感が否めませんでした。しかし、調査結果としてはともかく、真の分析とは数字からだけでは読み取れないものを見つけ出すことにあります。私は、そのヒントを、調査以外の情報から見いだしました。ひとつは、ぼーしやジャム工房池宮氏が各品種をジャムに仕立てる際の感想の中にありました。また、ブルーベリーとは比較的縁遠い世界にありながら、その別な世界でしっかりとしたポジションを築いている人の意見の中に見つけた気がしています(次章:一流ソムリエによるブルーベリージャムテイスティング)。

 今回の「本当に美味しいブルーベリージャム」に辿り着くための、基礎情報の取得を目的とした各品種の特性把握には、一般通念としての先入観とバイアスの排除、そして個人の嗜好をも排除した客観性とコーザルデータから数字を再度見つめる必要性を感じました。

ブルーベリージャム試食会

注)福島の調査結果からのレポートは作成してありますが、関係者との協力関係に伴い発生する優先されるべき共有権益の事情から、ここではすべての公開は控えさせて頂きます。ただし、これと同様に将来的な共有権益が見込める場合に限り開示することは可能です。