一流ソムリエによるブルーベリージャムテイスティング

 社内スタッフおよび福島県5地区での試食会に加え、10品種のイメージ評価を実施しました。これは、ブルーベリー関係者ではなく全く別角度からのアプローチとして、フランス料理店グランメゾンの一流ソムリエによるワイン風テイスティングとしました。協力頂いたのは、日本を代表するグランメゾン有楽町アピシウスのシェフソムリエ情野博之氏です。

アピシウスでのブルーベリージャムテイスティング

 評価方法は、雑誌等でワインを評価するテイスティングと同様に最初に口に含んだ第一印象によるイメージを記述していくというものとしました。特に興味深かったのは、味覚判断や優劣判断のプロは、第一印象のみでジャッジするということでした。さらに、そのジャッジは瞬間的でかつイメージの膨らみ方とその発展性も大変参考になるものでした。つまり、すでに加工品になっているにもかかわらず、そこから得られる様々な情報から生の状態が連想できたり、ブルーベリー関係者ではおそらく出てこないであろうという表現(香ばしさ、タンニン、コンフィっぽい、調理しやすそう、生が感じられるなど)があったことでしょうか。これらの情報と、私が各地を訪問することによってすでに感じていた各品種に対する情報のうち、合致したものはまさしく確定情報としての意味を持ち、新しい発見は新たな仮説としての意義を持ったのでした。

 味覚に優れた者を厳選し2回にわたり実施した社内試食会、5地区計63名による福島での試食会、そしてこの現役シェフソムリエによるイメージ調査から私が感じたことは、いくつもの角度から見つめなければ真の姿が見えてこないだろうという仮説を裏付けるものでした。また、私が考える「本当に美味しいブルーベリージャム」へのアプローチとして必要な基礎情報の把握は、多数決による調査では、むしろ真実がぼけてしまうことを確信しました。

 したがって、よく行われる一般消費者を対象とした試食会は、一方向からの目安でしかなく、かつ真実とはかけ離れている調査結果しか出ないだろうと感じたのでした。その理由は、やはり関与度の問題があるからです。つまり、レベルが問題になるということです。また、実際、生果では各品種の熟期の問題があり多数の品種の調査は難しく、同時に多くの地域にまたがると地域特性のみならず栽培技術や収穫技術の均一性を求めることが一層難しくなり客観性に欠けます。一方、加工品では同様にその品種確保のみならず、加工方法における公平性を保つことが最も難しいのです。

 今回私が実施した試みでの最大の成果は、今までの仮説の幾つもが検証され、新たな仮説や真実にアプローチできたことです。たとえば、加工することによって生果での各品種の特性からは想定できない意外な特性の幾つかがわかってきたのも事実でした。また、かつてブルーベリーの世界でこのような多角的な試みはなかったと思うのですが、私感としては10品種でも少ないと感じたのでした。しかし、ジャムの作り手や手法が変わっただけでも、その客観性は失われるため、それ以上は事実上不可能ともいえる試みかもしれません。また、各方面への手配から実施時期上の問題も発生するため、「ブルーベリージャムについての考察(3)」でも指摘した「鮮度」においては、少なくとも私の基準では少々問題があったことも補足しておきます。

 

注)詳細な結果については、関係者との協力関係に伴い発生する優先されるべき共有権益の事情から、ここではすべての公開は控えさせて頂きます。ただし、これと同様に将来的な共有権益が見込める場合に限り開示することは可能です。