究極の「ブルーベリーパイ」

 「本当に美味しいブルーベリー」、「本当に美味しいブルーベリージャム」に続いて、「本当に美味しいブルーベリーパイ」、いわば「究極のブルーベリーパイ」も、私の興味の対象でした。食べることはともかく、作ることには素人である私にとっては、製法を極めることは無理なのですが、その素材にはどの品種がベストなのか、あるいはどんな品種の組み合わせがベストなのかということに興味があったのです。そこにはひとつの基準があって、これはジャムについても同様なのですが、たとえばブルーベリーの酸味とは、「品種によって自ずと出る」もので、「早摘みによって出す」ものではないということです。つまり、すべての素材が完熟果であることが大前提になります。

ブルーベリーパイ

 なぜこんなことにこだわるかというと、今までの経験によって感じたことなのですが、加工するには「多少若い実が入っていた方が酸味があっていい」とか「いろいろ混ぜた方が面倒でない」といったような言葉を多く聞いていたからなのです。これらは、品種本来のポテンシャルを無視した発言のように感じてならないのです。確かに、省力化やコストパフォーマンスを前提とするならば、これは正しいのかもしれませんが、この基本発想からは付加価値の高い唯一無二の製品を作り出すようなことは永久にできないでしょう。

 このような考え方を、生果販売に当てはめるならば、ブルーベリーは高級サクランボの佐藤錦や紅秀峰には、けっして及ぶことがないということです。同時に、その加工品においては、たとえばブドウという果樹が「ロマネコンティ」や「シャトー・ラフィット・ロートシルト」のような超高級ワインに化ける可能性なども絶対にないということなのです。

ブルーベリーパイ

 したがって、私が考える究極のブルーベリー加工品の素材としては、ジャムにせよ、パイにせよ、本来的に果皮が固く種が目立つラビットアイブルーベリーは最初からその対象からは除外されます。実際、単一品種によるブルーベリージャムの試作においても、付加的に作ってっみたラビットアイ4品種の評価は惨憺たるものでした。ティフブルー、デライト、バルドゥイン、メンディトゥーのどれもが、ハイブッシュとは別物という低い評価を受けるとともに、特に果皮や種の煩わしさが指摘されました。

 それゆえ、私は、ハイブッシュブルーベリーのすべての品種の完熟果を前提として、どの品種が最高なのか、あるいはどんな品種の組み合わせが最高なのかに興味があったのです。すべては、極めて個人的で素朴な疑問の答えを見つけ出すためのものなのですが、これはいまだ誰も試行していない発展途上のブルーベリーを付加価値あるものにするための手がかりになるとも考えています。