究極のブルーベリージャム~ひとつの結論(2)

 3つ目に試食してみたものは、先のブルークロップとペンバートンと同糖度のもので、ウェイマウスをベースとし、いくつかの品種のドライをミックスしたという、これまた新しい発想のオリジナル製品でした。

 従来製品のほとんどは、ブルーベリーの粒状感を出すために、煮込んだ時に崩れにくい品種を選んだり、煮込み方の工夫でそれを実現していたはずです。しかし、エコニコ農園では、粒状感をドライによって実現しようという新たな発想をもち、その発想の正しさが証明された製品だといえます。同時にそれは、ブルーベリーの香りや風味を逃さない工夫にも一役買っているといえるでしょう。実際、ブルーベリー本来のしっかりとした粒状感を維持しながらも、ベースとなるウェイマウスのペクチンの少なさが手伝って凝固感が少なく極めて自然に加工されたブルーベリージャムという印象を受けました。この製品が、今まで私が個人的に最も好むイメージのものだったのですが、新たな手法での粒状感が実現されていることが、エコニコ農園のオリジナリティだといえるでしょう。

 残る2つは、「無加糖」という、砂糖すら全く添加しないという斬新な発想の製品です。ブルーベリー本来の味や風味を、そのまま封じ込めるという発想なのでしょうが、営利でこれを実践し製品化にまでこぎ着ける勇気はなかなか持てないというのが正直なところではないでしょうか。確かに、無加糖は健康志向的ではありますが、消費者側にブルーベリー本来の美味さやエッセンスの理解が低い場合、嗜好的には受け入れられにくいのです。また、誤った受け入れられ方もされやすいともいえます。いい例が、「ブルーベリーは目にいい」であるとか「アントシアニン含有量」などという断片的な情報の流布によって、ブルーベリーを美味しく味わうという本来の食としての楽しみ方よりも、その効能だけが強調され、勝手にひとり歩きするあまり、時としてクスリ的なイメージの醸成にまで繋がってしまうことがあげられます。

 さて、無加糖の1つ目は、「ジャージーをベースにしてウェイマウスのドライをミックスしたもの」でした。これは、本来ペクチン含有量が多いはずのジャージーをベースとしながらも、ウェイマウスベースの加糖製品よりも凝固感が少なく、ほどよい自然なペースト状に仕上がっているのが印象的でした。これも製法によるのでしょうが、無加糖であるために糖分がペクチンの凝固を促進していないためとも想定されます。加糖されたジャムとはけっして比較することなく、これだけを口に含めば、まさにブルーベリー本来の風味が感じられ、さらにドライによる粒状感が味わえるというブルーベリーの通好みの製品に仕上がっているといえるでしょう。

 無加糖の2つ目は、「アーリーブルー単品種」の無加糖製品でした。以上の4製品がすべて、エコニコ農園のオリジナリティを象徴するような製品だったのですが、このアーリーブルー単品種の無加糖製品は、それらをさらに凌駕する個性を感じさせるものでした。ファーストインプレッションとしては、もはや従来のジャムの概念を超えた別な存在だと私は捉えました。

 それは、ジャムというよりは「究極のブルーベリーピューレ」であり、「究極のブルーベリーソース」という印象なのです。僅かにブルーベリーの果実や粒状感のなごりを感じさせるものの、ほぼ完全なペースト状になっているこの製品は、旬にしか味わうことのできないフレッシュブルーベリーを加工することによって、別な形でありながらも時間を超越し、ブルーベリー本来の風味を凝縮したイメージといったものでした。そうして出来上がった製品は、既存のジャムにおける重要な一要素ともされる粒状感など不必要だと主張しているようにすら感じられたのです。いや、私がこの製品からそういう新たな発想に至ったといった方が正しいのかも知れません。

 このアーリーブルー単品種の無加糖製品によって、私が本サイトで幾多の言及をし、その具体的象徴として「本当に美味しいブルーベリージャム」あるいは「究極のブルーベリージャム」としてきたものは、実は「本当に美味しいフレッシュブルーベリー」の対極にある「本当に美味しい究極のブルーベリー加工品」だったということに気がついたのでした。

 つまり、私は、漠然としたイメージでありながらも確実に存在するはずの「本当に美味しい究極のブルーベリー加工品」を何年も前から思い描いていたのです。そして、そこへ到達するために私が個人として実践可能なことはすべて実行し、その結果を本サイトで公開することによって、ブルーベリー農家さん達を啓発し、都会に住む一個人では実現不可能な最終成果物を、誰かが具現化してくれることを願っていたのだと思います。

 そのひとつの結論が、エコニコ農園から贈られてきた5つのブルーベリージャムであり、そのうちの1つである「アーリーブルー単品種の無加糖製品」は、私が模索していた「本当に美味しい究極のブルーベリー加工品」にジャムという概念を超えて、新たな道しるべを示したひとつの完成形だと感じたのでした。