記念すべき記録写真

 私をブルーベリーの世界に引き込んだ1粒を撮影したデジタル写真が残っています。データのファイルプロパティからは、「SONY Cyber-shot、f2.8、1/30秒、ISO162、スポット測光」などの情報がわかります。そして、撮影日時は「2001年5月31日AM6:00」となっています。これは、 その翌日に私を驚嘆させることになる「1粒のブルーベリー(ウェイマウス)」の写真なのです。調べてみると、当日の東京の天気は「雨のち曇」、早朝6時ジャストの写真に写っている水滴は雨水のようです。

ウェイマウス

 私にとって、このブルーベリーは非常に感慨深いものであるともに、まさに記念すべき1粒なのです。そして、この写真は、記憶から遠くなっていくその瞬間を切り取った貴重な「記録写真」でもあります。この写真によって、いまだにその瞬間を鮮明に思い起こすことができるのです。さらに、画像だけでなく様々な客観情報を同時に記録できるデジタル写真データであったことで、現在でもその時の情報を辿ることができるのです。

 この「ウェイマウス」という早生品種は、私が住む東京では6月を待たずして5月の末に最初の一粒を口にすることができます。一方、積雪が2mにもおよぶ長野県信濃町では、ちょうど1ヶ月後の6月末に熟し始めます。そして、北海道に至っては、さらに遅れて7月中旬から収穫が始まる品種なのです。この一粒に出会わなければ、私は長野県信濃町にも、そして北海道にも、これほど頻繁に足を運ぶことなどなかったことでしょう。

 そして、このウェイマウスという品種の日本各地における熟期の違いに思いを巡らすことによって、私は自らが訪れた地域やそこで出会った多くの人々に対しての様々な感慨に浸ることができるのです。