都会の中の自然

 一粒のブルーベリーをきっかけとした都会でのブルーベリー栽培によって、多くの発見ができた気がしています。ブルーベリーは、都会の屋上やバルコニーでの鉢植えでも、大粒品種を選択することによって最大500円玉サイズの果実を収穫することができます。また、手をかけさえすれば毎年100円玉サイズの果実を相当量収穫することも、それほど難しいことではありません。 確かに生産農家のような収量勝負は厳しいでしょうが、品質やサイズでは必ずしも土地利用型栽培に分があるとは限らないのです。

ブルーベリーの収穫

 また、東京タワーや六本木ヒルズ、東京ミッドタウンに代表される大都会の屋上には、訪花昆虫などいないものと思っていたのですが、ブルーベリーを栽培することによって、意外にも多くの虫たちがやってきたのでした。

セイヨウミツバチ/クロマルハナバチ

 都会のど真ん中にもかかわらず、ブルーベリーの緑があるだけで、セイヨウミツバチ、ニホンミツバチ、ニッポンヒゲナガハナバチ、クマバチ、クロマルハナバチ、アゲハチョウ、クサカゲロウなど、実際に写真に捉えただけでも多くの虫たちと出会うことができました。 しかしながら、長い歴史の中で繰り返されてきた正統的な食物連鎖が成立していない都会においては、ブルーベリーにとっては厄介なコガネムシなどの害虫の大繁殖や、人にとっては好ましく感じられるミツバチなど特定種の激減などは仕方のないことなのかも知れません。

ニッポンヒゲナガハナバチ/クロマルハナバチ

 偏った環境問題を抱えつつも、ビルが建ち並ぶ都会の真ん中でも生き物たちは果敢に生きています。ビルの谷間にも自然の素地がまだまだ残されているということなのでしょう。たくさんの虫たちの飛来によって、まさにアスファルトで覆い尽くされたかのような都会の隙間にも自然が存在していることを実感した気がしました。 都会には自然がないのではなく、ほんの少しのブルーベリーの緑によってでも、その隙間に小さな自然を創り出すことは可能なのだと確信できたような気がしています。

アゲハチョウ/クサカゲロウ