都会の優位性

 「平面過密・立体過疎」などという言葉までもが存在する都会でも、真上を見上げれば空があり、短い時間ながらも太陽が降り注ぐ環境だけは最低限存在します。しかし、実際にブルーベリーを栽培する環境はといえば、気象庁の芝生の上の百葉箱で計測された気温よりも格段に蒸し暑いヒートアイランドなのです。 さらに、港区は汐留の高層ビル群の誕生によって海風さえも遮られ、さらなる温暖化を迎えたといわれている地域です。そのような過酷な環境下において、北米を原産とする品種が多いブルーベリーの品種特性など発揮されようがないでしょう。

 にもかかわらず、多くの人が体験できていない「本当に美味しいブルーベリー」を享受できているのも事実なのです。それこそが「都会で楽しむブルーベリー」の優位性だと考えています。

都会の風景(朝夕)

 さらに、このブルーベリーによって、私はモノを見る目を養うことができたと思っています。それまで出向くこともなかった遠く離れた日本各地の産地を訪ね歩くことで、都会では感じ得ない様々な体験をすることができました。と同時に、厳しい自然に立ち向かう農家の人々の忍耐力などを見るにつけ、ぬるま湯の都会で暮らす自分には到底持ち合わせていないであろう世界を思い知ることができたといえるでしょう。

森タワー49階からの風景

 このような短い期間での集中的な体験から多くのことを感じ得たのは、急激な変化にも順応することを余儀なくされてしまう都会を本拠地としていたがゆえのものだとも考えています。私自身の極めて性急な目的達成意識を成就させてくれたのは、どこよりも早い新しいインフラの整備と充実、あるいはそれに伴う情報や手段の迅速な入手、さらには時間さえもデザインし直し、昼夜を問わない自由でボーダレスな作業環境を可能としてくれる都会の優位性によるものだったと考えています。都会から離れられないがゆえ、その真逆に位置する自然への憧憬が、私とブルーベリーをこれほどまでに強く結びつけたのかも知れません。

六本木ヒルズ森タワー