今、思うと・・。

 約10年間を節目に、私がブルーベリーと関わった様々なデータを整理する中で、記録した写真と資料から当時非常に印象深かったことを思い出しました。それは、私がブルーベリーに興味を持った最初の年、2001年のことです。インターネットもいまだ黎明期の頃でブルーベリーに関する情報も非常に少なかったと記憶しています。そんな中でも数少ない有益な情報を得ようと様々な検索方法を駆使していた私は、農林水産省が消費者の部屋でブルーベリーの催しを行うという情報をみつけました。消費者の部屋とは、農林水産省が消費者とのコミュニケーションを深めることを目的とし、霞ヶ関の農林水産省本館1階に設けているスペースです。そこは1~2週間ごとに、身近な食料品から環境問題まで幅広いテーマを取り上げて様々な展示を行う場所でした。

消費者の部屋

 私は、初日の昼前に到着しました。真夏の猛暑も手伝って、一般の訪問者の姿は非常に少なく、展示を行っている人と親しそうに話をしている関係者と見られる人の方が、むしろ多いという感じでした。ところが、昼12時のチャイムとともに臨時に設けられたテーブルの受付には一瞬にして長蛇の列ができたのでした。簡単な「アンケート」に答えると先着順にブルーベリーの苗木が100本無償提供されるというのです。驚くべきことは、その長蛇の列のほとんどは農林水産省の職員だと思われたことです。なぜなら、男性は誰も上着を着ておらず、サンダル履きのおじさんが多数存在していたからです。

 このブルーベリーの苗木が無償提供されるということは、農林水産省「消費者の部屋」のお知らせにも、日本ブルーベリー協会のホームページにも一切記されていませんでした。つまり、一般消費者には全く告知されていないにもかかわらず、農林水産省の職員は皆知っていたのです。もちろん、私自身もこの苗木提供のことなど知らず、この時間帯に偶然居合わせたのでした。

 そして、列に並んだ職員たちは、展示などには全く興味も示さずアンケートを簡単に済ませ、ブルーベリーの苗木をぶら下げて、すぐさまUターンしていくのでした。回答者のほとんどが農林水産省職員である「ブルーベリーに関するアンケート」の調査データから、一体何をマーケティングしようというのでしょうか。マーケティングリサーチの基本とは、データのバイアス(偏り)を回避するため、事前にその対象者に対しスクリーニングを行い、業界関係者および調査関係者を排除するものです。

 その後、日本ブルーベリー協会が発行した「ブルーベリーニュースNo.22(2002年1月号)」のアンケート報告には、「職業別に見ると場所がら公務員が圧倒的に多く・・・一般消費者を代表するものではない」という記述がありました。おそらく担当者は真摯に結果を集計したと思われますが、自らの関係者がこのアンケートを全くの無意味なものにしてしまったのでしょう。また、こんな事実上の上納がどんな効果を生むというのでしょうか。

 今思うと、このような経験も含めて、今現在の私のモノの見方やスタンスが養われてきたと思うのです。私の目的は、自らが感じたブルーベリーのポテンシャルの真を問うことです。それには、まず真実を見抜くこと。定説など信じないこと。検証していないモノはすべては仮説に過ぎないという発想。そして、既存情報が曖昧ならば、すべての物事は自分で確認するということです。それは、どこの世界にも通じるノウハウであるため、そこから得られた知見は、すべてに通用する気がしています。そして、それを次なる目標へのアプローチにつなげていくことなのです。