エザワフルーツランド(千葉県木更津市)

 エザワフルーツランドのある千葉県木更津市真里谷(まりやつ)周辺は、ほのぼのとした里山の雰囲気を残しており、素晴らしい自然を身近に感じることができます。近くを走るJR久留里線は昔懐かしい単線で、無人の駅舎の風情をはじめとして、ここでも古き良き時代の憧憬を味わうことができます。

 私がはじめてエザワフルーツランドを訪問したのは、2002年のことで、東京湾アクアラインで一気に東京湾の下をくぐり抜け、木更津北ICを降りてから15分ほどの距離でした。その後、圏央道が開通し木更津東ICまで行けるようになり、そこからなら6-7分となりました。都心から1時間もかからない身近なところに、このように懐かしく美しい自然が残されていることが信じられませんでした。途中に見えるJR久留里線馬来田(まくた)駅は、遙か昔にタイムスリップしたような雰囲気の駅舎で隣には直売所があって、帰りには新鮮な野菜や果物、そして東京では非常に高価な烏骨鶏の卵などを買って帰ったものです。

 エザワフルーツランドの摘み取り園は、一般の観光摘み取り園とは趣が異なります。ブルーベリーを味わうことはもちろんなのですが、それ以上に自然との触れ合いを大切にしています。まず、辿り着くまでに小川のせせらぎを聞きながら、森林浴をかねて山道を歩くことになります。

エザワフルーツランド

 それなりの勾配がある山道なのでお遊び感覚の摘み取り園とは違って少々覚悟がいりますが、その途中では蝉の声に耳を傾けながら珍しい山野草をじっくりと観察することもできるのです。また、園主の江澤貞雄氏が考えた様々な工夫が山道のあちらこちらに見られます。

エザワフルーツランド

 ブルーベリー園に辿り着くと、そこはラビットアイブルーベリーの宝庫。いくら摘んでも摘みきれないほどのブルーベリーが実っています。あまりにも本数が多いため、剪定がおろそかになってしまう株でも、しっかりと根を張った強健なラビットアイは、枝もたわわに実をつけています。

 ここエザワフルーツランドに、私が幾度となく通ったのは、ブルーベリーの魅力のみならず、里山の自然が残された周辺環境にもあったのだろうと思っています。その後、野鳥撮影に興味を持ったのも、それがひとつのきっかけだったのかも知れません。実際に、初めてのミサゴの撮影に成功したのも、ここで感じた自然環境の豊かさから、房総半島を探索して自ら撮影スポットとなる湖を探し当てたからでもあったのです。

 頻繁に利用した東京湾アクアラインは、社会実験、千葉県側の費用負担、ETC特別割引などの値下げ施策によって、いまでこそ普通車で片道800円という料金になっているものの、開通当社は4000円、そして3000円の期間もしばらくあったことが思い出されます。

 その後、すっかりご無沙汰してしまっているのですが、園はますます拡大を続け、様々なチャレンジを行っている園主の江澤貞雄氏の努力によって、ラビットアイ系だけでなく素晴らしい実をつけるオリジナルの南部ハイブッシュ系も増えていっているようです。毎年、シーズンインの6月初頭には、ご自慢の一番果を送ってきて頂くのですが、その果実は美味さといいサイズといいまさにトップクラスです。さらに、ほぼ100%傷みのない高級フルーツとしても通用する慎重にも慎重を重ねた選果であることが伺われます。東北や長野の一部で、ようやく実現されている北部ハイブッシュ系品種の最高品質大玉ブルーベリーとも引けを取らない見事な南部ハイブッシュ系の果実だといえます。なお、「ブルーマリヤ」とは、ブルーベリーの品種名ではなく、その高品質を約束するエザワフルーツランドの「ブランド名」ともいうべきもので、地名の「真里谷(まりやつ)」に由来します。

 また、江澤貞雄氏は、オリジナルな加工品にも数多くチャレンジされています。あえて果皮が厚く小さな果実だけを使って製造されたオリジナル製品の「アイキラリン」は、現時点においてはアントシアニン含有量が最も多いドリンク(45mg/50ml中)に仕上がっています。このような様々なチャレンジによって、いまだマイナーな存在でしかないブルーベリーが、いつの日かメジャーな存在になるのではないかという期待すら抱かせてくれる気がします(2015年秋)。