ブルーベリー大図鑑

 本書籍は、おそらく世界初の「ブルーベリー図鑑」という位置づけになるはずです。いまだ存在していないものを創りたかったという意図もありましたが、その目的は「ブルーベリーの本当の姿(真実)」を語ることにありました。 したがって、私にとっては「図鑑」とはあくまでもタイトルの一部であり、品種の解説とはその手段に過ぎません。その本質とは、私が短期間で濃密に接したブルーベリーから感じた「真実」を語ることにあったのです。

 それは、善し悪しに関わらず、「虚像」を剥ぐことでもあります。同時に、私にとってのブルーベリーとは、もはや「題材」に過ぎなくなったのです。究極的な目標とは、物事の「真実」を捉えて見つめることなのです。そして、そこから得たノウハウをもとに次なるモノを捉えることにあります。したがって、本書籍の記述テイストは解説というよりも極めて恣意的な評論色が強いものになっています。

ブルーベリー大図鑑

 また、その内容のみならず、表紙、装丁、紙質、あるいは手にしたときの質感や印象にもこだわりを持って制作しました。これには、2つの理由があります。1つは、この書籍の制作自体が営利性の高いビジネスではなく、自らのプロダクトという捉え方をしていたからです。そして2つめは、本が売れない時代であるがゆえに、その制作費削減が迫られ「書籍」というもののイメージ自体がチープ化に向かわざるを得ない現状に対して、一石を投じるという意図がありました。

ブルーベリー大図鑑

 そのような営利性の欠如した装丁を前提とし、さらにブルーベリーという極めてマイナーな専門カテゴリーであったにもかかわらず、初版3500部は3年を待たずして完売しました。これは、1冊の書籍としての絶対価格は高価でありながらも、そのコンテンツおよび物理的価値としてのコストパフォーマンスが認められた結果であると確信しています。

ブルーベリー大図鑑

 ただし、この初版の完売にあたり、多くの方々からのお問い合わせがあったにもかかわらず、重版(二刷り)には着手しませんでした。その最大の理由は、すでに予測していた新品種の乱立とパテント品種の台頭にあります。また、すでに本書籍をまとめ上げた時点でさえ、私が「真の優位性」を持つと評価できる新品種があまりにも少なく、その多くが従来品種と比較して五十歩百歩であったと感じていたからでもあります。

 そして、その後、日本では予測したとおり形式だけの種苗登録をパスした新種が乱立してきました。一方、海外の新品種は、その多くがパテントという足枷を持ち、輸送性・保存性には若干優れるものの、果実品質としては過去の優良品種を凌駕できていません。しかし、市場出荷を前提とした世界マーケットという視点で見るならば、おそらくこれらのパテント品種がメジャーになるだろうという予測はしています。しかし、日本のマーケットではそうはならないでしょう。

 完売以降、本書をご支持頂いた方々、そして入手できなかった方々からの要望等により、改訂増補版「ブルーベリー大図鑑」を検討こそしたもの、自らの中にそこまでの意義を感じ、意欲が生じることはありせんでした。今後は、適宜改定や追加が可能な本サイトを通して意義ある情報の掲載をしていくこととします(2012年夏)。

 音楽や映画がネット配信されるようになり、書籍も大きくその形態を変えて従来のような位置づけではなくなってきました。しかし、過去の長きにわたる書籍文化を背景として、実際の出版物は、いまだ直に手に触れる存在感や質感という優位性はあるものの、改訂版の刊行以外に内容の変更や訂正方法がないという由々しき問題を抱えています。本書籍の場合は、細かい内容よりも考え方やエッセンスに重きを置いているため、そのあたりの問題はないのですが、私が唯一気がかりで今でも悔いていることは、この書籍の中に誤字脱字があまりにも多かったことでした。私は、このブルーベリー大図鑑以降も書籍を手がけたのですが、その老舗出版社とは比較などできないほどブルーベリー大図鑑においては内容のチェックがずさんだったのです。最終的には、それもすべて私の責に帰するところですが、本サイトでの「ブルーベリー図鑑大公開」も含め、本書において誤字脱字が多数見受けられることに関しましてはご容赦願えれば幸いです(2015年秋)。