市場化の検証(1):ブルーベリーの品種別調達は可能か

 2009年、NTTコミュニケーションズプロジェクトの一環として、帝国ホテルでブルーベリーフェアを実施する可能性が浮上しました。それに伴い、一日に品種別の生食用極上ブルーベリー10kgが調達可能か否かという課題が持ち上がりました。当然、帝国ホテルともなると様々な食材の調達ルートはすでに確保されています。

 しかし、ブルーベリーの品種別ともなると、ほぼ不可能であることがわかりました。さらに、都内のフレンチやイタリアンなどの高級レストランにおいても、どんな仕入れルートを使っても品種別での調達は無理であるということがわかったのです。同時に、品種別どころかラビットアイ系とハイブッシュ系の区分さえもほとんどされていないのが実情だったのです。

 これは、いまだに一般マーケットでは、ブルーベリー自体の品種別の認識などなく、ブルーベリー全体としてもそのニーズと同時に調達実績がないことを意味するものだといえるでしょう。少なくともこの時点では、やはりブルーベリーはブルーベリーでしかなく、品種や系統の概念などほとんど存在していないといって間違いないものでした。

帝国ホテル

 しかし、その一方で厳選された大粒の極上フレッシュブルーベリーが、岩手県の一部の農家の例をあげるまでもなく、品種別はともかくとして5000円/1kgの価格が実現しているのも事実なのです。つまり、日本各地の努力を重ねている有力な生産農家には、生食用大粒極上ブルーベリーの生産ポテンシャルはすでにあるのだと私は確信しています。

 実際、一般の食材ルートでの「品種別生食用大粒極上ブルーベリー10kg/日」の調達が不可能であることがわかったにもかかわらず、私と日本各地の信頼おける生産農家とのブルーベリーコネクションで、どうにかそれが可能である見通しが立ったのでした。しかし、その品質管理は、もちろん容易なものではありませんでした。

 私が絶大な信頼をおいていた生産農家でさえ、実際にこちらの手元に届いた時点で、今回のニーズを満たすクオリティをクリアしたものは少なかったといった方がいいくらいでした。これこそが、ブルーベリーが抱える宿命的なマイナス要因なのです。

ブルーベリーの調達

 しかし、それを突破する基本中の基本は、送っていい品種と送ってはいけない品種、結局のところ単純に輸送に耐えうる「品種選択」なのですが、いまだに品種別の特性の認識すら完全に出来上がっていないのが現実なのです。そして、もう一つの不可欠かつ重要な要素は、ブルーベリー大図鑑制作の時点で、すでに指摘している「品種選択」「栽培技術」に次ぐ「収穫技術」なのです。

 この「収穫技術」ということの真の理解がなされた時、付加価値の高い高品質のフレッシュブルーベリーが実現することでしょう。これは、すでに多くの時間と努力を重ねてそこに辿り着いている生産農家の企業秘密でもあるため、ここでの具体的な明言は避けなければならないのが苦しいところですが、これによって5000円/1kgの価格が実現しているといっても過言ではないのです。