市場化の検証(2):生果販売(宮城ブルーベリーフェアより)

 フレッシュブルーベリーの本格的市場化の検証として、いくつかの事前調査や試行を実施しました。その事前調査の一つとして、2009年に行われた宮城ブルーベリーフェアで販売された生果の状態を厳しくチェックしてみました。なお、ここでの記述は、ブルーベリー市場化プロジェクトで作成したレポートをWeb用にリライトしたものとなります。

宮城ブルーベリーフェア

■はじめに

宮城県のアンテナショップ「宮城ふるさとプラザ(池袋東口)」で、2009年6月29日(月)~7月3日(金)までの5日間にわたりブルーベリーフェアが開催されました。このフェアでの販売状況や消費者の反応などから、いまだ本格的な市場化に至っていないブルーベリーという商品の可能性を探ってみました。特に今回はフレッシュブルーベリーに焦点を当てました。

宮城ブルーベリーフェア

■宮城ふるさとプラザ

都内には各県アンテナショップが多数存在します。最も集中している有楽町をはじめとして、銀座、新橋、虎ノ門など、そのほとんどは人通りの多い繁華街のビルの1階に位置しています。「宮城ふるさとプラザ」も池袋東口すぐのロケーションにあります。今回のブルーベリーフェア視察は、開催2日目にあたる日で、AM11:00の開店前から数人が並ぶ姿が見られました。

宮城ブルーベリーフェア

■ブルーベリーフェアの概要

店舗の外にも内側にも開催期間が記された「ブルーベリーフェア開催中」を詠った「のぼり」が立てられ、賑やかさも演出されていました。ジャム、ソース、ゼリー、ジュースなど多数の加工品も併売されていますが、なんといってもメインは、フレッシュブルーベリー、それも今回は品種別であることが最大の売りです。

200g入り1パック600円。初日は「レカ」、2日目は「アーリーブルー」といった感じで限りある収穫量をうまく使っています。また、100gパックで300円の品種名のないブルーベリーも併売されていました。なお、このフェアの事前告知は宮城ふるさとプラザがネット上で行った程度で当然マスコミに取り上げられるレベルではありません。

フェアの応援には、黄色い法被を着た蔵王町役場の職員の方と、農園の顧問である岩手大学名誉教授の横田氏(初日と2日目のみ)が駆けつけるという熱の入りようでした。ほとんど認知されていないはずのブルーベリーの生食の美味さと品種の存在。それを来訪した一人ひとりに説明していくこと以外、普及の手段はないということでした。

宮城ブルーベリーフェア

■実際に販売されたフレッシュブルーベリー

ブルーベリーの特性を考慮し、少しでも鮮度を落とさないために、前日の午後から蔵王町にて収穫した果実を、フェア当日の早朝に東京に到着するという手配になっています。また、特にこの時期は温度変化による結露が問題となるため、あえてクルー便は利用せず常温での宅急便を利用するという試みでした。到着後は、エアコンの効いた室内で販売し、当日での売りきりを目指し、当然翌日持ち越しでの販売は行わないという方針でした。

宮城ブルーベリーフェア

■調査の目的

現在日本でトップクラスでの品質を持ち、さらに最大級の配慮を持って宮城から送られてきたブルーベリーは、一般消費者をして「美味い!」と言わしめるレベルなのでしょうか? 宮城ふるさとプラザ・ブルーベリーフェア2日目に用意された品種「アーリーブルー」200gパックを15個(3kg)購入し調べてみました。

 

■全15パックの印象

この時のアーリーブルーは、全体に小粒傾向が見られ粒ぞろいがあまり良いものではありませんでした。しかし、それでも、これが2009年現在、平均とされる2000円/1kgのレベルを上回る3000円/1kgのフレッシュブルーベリー現実であり、実態でもあります。そして、このレベルであっても、現在日本各地のスーパーで売られているフレッシュブルーベリーのレベルを完全に凌駕しているといえるのです。

宮城ブルーベリーフェア

■全15パックを厳密に精査

ブルーベリーの宿命的果実特性からいって、パーフェクトは有り得ないのかもしれません。凹み、潰れ、果実漏れは、ある程度仕方がないと関係者の人は思っているのかもしれません。しかし、本プロジェクトにおける私の選果基準は、それよりさらに厳しいものとしました。なぜならば、それはブルーベリーの性質を知っている者のいいわけであり、一般消費者の判断基準に手心を加えてはいけないからです。なお、私は、アーリーブルーという品種は、同じ早生のバークレイと比べればいいものの、けっして輸送性に優れたものではないという評価をしています。したがって、前日のレカの方が、まだ評価が高かったかもしれません。

実際のところ、200g入りバック15個(全1.5kg)のすべてで、私の基準をクリアしたパック(すべての粒が合格したもの)は一つもありませんでした。また、一粒づつを詳細かつ厳密に選果した結果、全体の1/3(わずか1.0kgで300g)を超える除外品が出ました。ただし、これは「食べられない」というレベルではなく、「美味しくは感じない」という厳格な選果基準になります。そして、最終的には全3.0kgのうち、同様に1/3つまり1.0kgの除外品が出るという結果になりました。

宮城ブルーベリーフェア

■総括

現在の日本における最高レベルのひとつともいえる農園の製品でさえ、約1/3の除外品が出るということを真摯に受け止め、これを前提とした取り組みが必要だということになるでしょう。しかし、この事実は、もしもこの問題をクリアできるならば、フレッシュブルーベリーに極めて高い付加価値を付けることも可能になるということを意味しています。

実際、岩手の一部では5000円/1kgが実現しており、福島の一部でも、それに近い品質を実際に私は体験しています。また、生食から弾かれたものの利用(別レポート参照)等を考慮するならば、その将来はけっして暗いものではないと考えています。