市場化の検証(3):生果販売(アウトドアフェアより)

 フレッシュブルーベリーの本格的市場化のヒントとして、2009年に行われたアウトドアフェアで販売された生果の状態も調べてみました。ここでの記述も、ブルーベリー市場化プロジェクトで作成したレポートをWeb用にリライトしたものとなります。

 

■ブルーベリーフェアの概要

2009年7月3日(金)~5日(日)池袋サンシャインシティ文化会館で、「東京アウトドアズフェスティバル2009」が開催されたました。日本ブルーベリー協会は、毎年これに参加しているということで、最終日の7/5(日)に状況を視察してみました。入場に際しては、簡単なアンケートのみで無料となっていました 。

会期の3日間は、各地方からの有志の持ち回りということで、最終日の7/5(日)は、千葉県木更津の「エザワフルーツランド」、栃木県大田原の「増村農園」、群馬県川場村の「宮田果樹園」の3農家がメインとなっていました。 

ブルーベリーフェア

■フレッシュブルーベリーの試食と販売

群馬県川場村「宮田果樹園」産のブルーベリーは、「サイズサプライズ」を目的として、珍しく大粒のみのブルーベリーを試食提供していました。さすが500円玉には及ばないものの、100円玉を超える超大粒のものでした。

品種は、北部ハイブッシュ系の「ブルーレイ」。酸味が強い品種であるため日持ち性にも優れています。カゴに入った試食品は、宮田果樹園の厳格な選果の結果もあり、どれも完全な状態でした。現在の最高値である5000円/1kgでの販売も可能なレベルと評価しました。

 しかし、販売用とされていた山梨県八ヶ岳産「ブルーレイ」と「アーリーブルー」は、ほぼ平行して行われた「宮城ブルーベリーフェア」の宮城県蔵王産よりもさらに状態が悪く、私の評価では約半数が過熟と思われる状態で、これを販売することは、ブルーベリー全体のイメージを低下させるといえるかもしれません。おそらく過熟であるのはアーリーブルーと想定され、商品価値の低さは否めません。。価格は150gで600円なので、4000円/1kgをつけていたことになりますが、試食対象と販売対象が別物であることは大きな問題だとでしょう。私は、ここでもアーリーブルーという品種は果実品質には優れるものの、流通には不向きだと確信しました。ブルーレイとアーリーブルーを混在させることで、全体のイメージを損ねてしまうことを肝に銘じるべきでしょう。なお、これはフレッシュブルーベリー流通の問題点に対するきわめて象徴的な事例だといえるでしょう。

ブルーベリーフェア

■千葉県木更津市の取り組み

千葉県木更津市のブルーベリーは、エザワフルーツランドの江澤氏の努力もあり、「木更津市観光ブルーベリー協議会」が発足し、ひとつの産地として形成されつつあります。オリジナルパンフレットも内容的に充実し、東京から近いという地の利も幸いし、今後は大きく発展を遂げる可能性を秘めています。

ブルーベリーフェア

■総括

フレッシュブルーベリーは、いまだ本格的に市場化されていないため、一つの農家あるいはたった一人の強い情熱によってさえも、その取り組みの評価に大きな差が生じるといえるでしょう。実際、日本ブルーベリー協会が配布する全国ブルーベリー摘み取り園情報よりも、千葉県の一地区である木更津ブルーベリー園紹介のパンフレットの方が明らかに内容が充実しているのです。このような事実は、やり方次第という意味合いと、今後の可能性という意味合いの双方を指し示しているともいえるでしょう。

そして、今回もやはり、あらためてフレッシュブルーベリーの流通と販売における「宿命的課題」がクローズアップした気がしています。フレッシュブルーベリーのクオリティ管理の難しさを再認識するとともに、それに対しての二重三重の対策が必要だという教訓でもあります。送り出す側の「ベスト」は、必ずしも受け取る側の「ベスト」ではありません。「ブルーベリーはこういう性質ものだ」というのは、送り出す側の「いいわけ」に過ぎず、そのクオリティが低ければ消費者は、単純に「買わない」という結果が残るだけなのです。あきらめを前提とした商売にするのか、希望を前提とした商売にするかは、結局のところ送り手次第なのです。