市場化の検証(5):加工品(フランス料理の前菜とメイン)

ブルーベリーの本格的市場化のヒントとして、加工品としてのブルーベリーの可能性にアプローチしてみました。ここでの記述も、ブルーベリー市場化プロジェクトで作成したレポートをWeb用にリライトしたものとなります。

 

■はじめに

ブルーベリーにおける「かつてない試み」が今回のテーマです。また、それは、一つの実験でもあります。「フランス料理を学んできた料理人が、全く先入観のない状態で、ブルーベリーという素材を手にした時、それとどのように向き合うのか?」。それが、いまだ「市場化に至っていない」ブルーベリーという商品(食材)の可能性を探るヒントになるのではないかと考えています。

今回、協力をお願いしたのは、東京六本木「ラ・シャッス」の依田シェフです。知る人ぞ知るジビエ料理で有名な隠れ家的レストランです。シェフは自らジビエの素材である鳥獣を仕留める猟師であり、旬の素材もすべて自ら選定するため、素材への感度は抜群といえます。ここに、素材としてのフレッシュブルーベリーを持ち込んで、まったくの白紙の状態からブルーベリー商品化へのヒントを探ってみました。

ラ・シャッス店内

■ラ・シャッス選定理由と条件

ラ・シャッス選定理由は、以下の「5つ」で、条件はブルーベリーに対しての予習が全くない状態で、持ち込みから24時間(翌日)に料理を完成させるというものとしました。

 * ブルーベリーを扱った経験がほとんどない。

 * 素材の斬新さを重視し、けっして奇をてらわない。

 * 料理人として、旬の素材感覚に優れている。

 * シェフ自らが狩猟を行うため素材の鮮度や熟成感に敏感である。

 * 今回の制約の多い性急な依頼を快く引き受けてくれた。

 

■素材としてのブルーベリー

季節柄、早生品種の「アーリーブルー」約1.5kg。うち、完熟果約1.0kg 小粒果約0.5kg(宮城県蔵王町「蔵王ブルーベリーファーム」産)

素材ブルーベリー:アーリーブルー

実際のところ、シェフおよびスタッフは、かつてこれだけの量のブルーベリーを扱った経験はなく、6/30(火)に持ち込んでからの24時間(翌7/1(水)18:00)での試行錯誤によって、全くオリジナルなブルーベリー調理法に挑戦し完成させてくれました。これにより先入観のない発想での新しいヒントが抽出できるものと考えました。

 

■前菜(ブルーベリー風味ホワイトアスパラのムース)

一見デザートのように見えますが、ホワイトアスパラ主体の前菜です。ブルーベリーは酸味が強いので、夏の食欲が落ちた時期には最適だという評価です。バランス的にハチミツは必須と思われるそうです。この時期(6~8月)に旬を迎える果実で、ブルーベリーほどの酸味を持つものは極めて少ないということで、アンズは甘く、プラムは水っぽいため、ブルーベリーに匹敵するものはなく、旬の素材としての稀少価値は高いという評価でした。

ラシャッス前菜

■メイン(鹿肉ロースト、2種のブルーベリーソース仕立て)

ワインを加えた2種目のソースは、当日の即興でした。鹿肉の赤身、それも特に胸肉に合うというフレンチの王道仕立てはオーソドックスであるがゆえ、ブルーベリー本来の色が失せてしまうほど濃厚な印象でした。

ブルーベリーと鹿肉

ソースは、色鮮やかなブルーベリーワインを後から加えることによって、さらなる酸味が増すとともに、鮮烈なヴィジュアルとしてのブルーベリーのイメージを助長することに成功しています。

ブルーベリーワイン